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コウノトリのひな 順調に成長 4羽に足環装着 今後3週間ほどで巣立ちへ 吉川区

1羽ずつ、計測や検体採取、足環装着を進める兵庫県立コウノトリの郷公園の松本令以主任研究員(獣医師、左)と吉沢拓祥主任飼育員。ひなはじっとして動かない
作業を終え、巣に戻され、目隠しを外されたひな4羽(高所作業車から撮影、上越市教育委員会提供)

 上越市吉川区で誕生した、国の特別天然記念物コウノトリのひな4羽に、個体を識別するための足環(あしわ)を装着する作業が17日に行われた。関係者によると、5月6日に誕生して以来42日を経過し、順調に育っているといい、今後3週間から1カ月で巣立つとみられる。

 作業は環境省や文化庁の許可のもと、兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)の主任飼育員や獣医師らが東北電力ネットワークの高所作業車に乗って行った。午前9時53分に、高さ約10メートルの電柱上に作られている巣の上から網をかけて4羽を捕獲。巣近くのテントで体重や体長などの計測、足環装着、検体採取などを1羽ずつ行った。

 作業中ひなは横たわったままじっとし、ほとんど動かなかった。同公園職員によると、怖くて動けないのだという。作業後、午前11時7分に再びひなを巣に戻した。同11時21分に親鳥の帰巣を確認した。

 ひなは体重3・6~4・6キロ、くちばしからお尻の羽までの全長が81・5~87・1センチ。4羽とも順調に育っており、近隣の環境が良く、餌となる生き物がたくさんいる証しとしている。性別は今後の検査で判明する。

 今シーズンは14府県、約50カ所で営巣や繁殖が確認され、分布域が北に広がっている。新潟県内では初めてで、トキとコウノトリという二つの特別天然記念物が生息する「貴重な事例」となっている。

 作業を見守っていた地元の男性(77)は「この地で生まれ育ってくれて感無量。無事巣立ってほしい」と願った。同公園や市は、観察や撮影をする際には、150メートル以上(車の中からは100メートル以上)離れて行うよう注意喚起している。

作業を終え、巣に戻され、目隠しを外されたひな4羽(高所作業車から撮影、上越市教育委員会提供)