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高卒者の学力蔑視 一般質問答弁で中川市長が失言、陳謝 上越市議会

一般質問の答弁で不適切な発言があったとし、本会議場でおわびする中川市長
中川市長の問責決議案は起立賛成少数で否決された

 上越市の中川幹太市長は18日の市議会本会議で、同市に主力工場を置く信越化学工業(本社・東京都)の工場で働く従業員について「高校卒業レベルが多く、頭のいい人だけが来るわけではない」と発言した。高卒者の学力を蔑視した発言と取られかねない。中川市長はその後「弁明のしようもなく、多大な心痛をおかけしおわびする」と陳謝した。

 発言は、丸山章氏(無所属)の一般質問での答弁で「市の企業誘致の取り組み」に関する部分。丸山氏は「企業誘致をしてこそ優秀な人材が集まる」と述べたが、中川市長は信越化学について「従業員3000人のうち、研究開発職は270人。あとは工場勤務。高校卒業レベルであり、それほど頭のいい人が来るわけではない」と発言した。

 発言を受けて議会は一時中断。再開後、中川市長が陳謝した。宮越馨氏(無所属)が中川市長に対する問責決議案を提出する緊急動議を行ったが、賛成は市民クラブと共産、無所属の13人にとどまり否決された。

◇度重なる失言 高校生関連は2度目

 また中川市長が失言をした。今回は議場でインターネット中継されている中での失言。市長としての品位や見識を疑わざるを得ない発言だった。

 発言後、中川市長は自室に戻るまでの間、記者が「どういう真意で発言したか」と問うと「そういうつもりで言ったのではない」と明確な回答を避けた。

 中川市長の失言は、高校生を対象にしたものだけでも2度目だ。1度目は昨年7月の経済団体との会合。その際は高校名を挙げ「県内ではレベルが下の方にある」と発言した。発言と本論は関係がなく、その後不適切と思ったのか「(その学校には)進学クラスもあるので」と発言して取り繕おうとした。会合の翌日以降は学校への謝罪、議会での追及など、各方面から厳しい指摘を受けた。

 上越市在住で、高校生の子どもを持つ40代の父親は「(中川市長は)言葉を知らないのだと思う」と話した。

 中川市長は「子育て日本一」を公約に掲げている。その市長が将来大望ある高校生をおとしめた。最低でも、自身の言葉で真意を語ることが求められる。

中川市長の問責決議案は起立賛成少数で否決された