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修復へ市と協力体制確認 能登半島地震で被災の文化財 歴史文化継承へ 上越市に要望提出の県建築士会上越支部

中川市長(中央)に要望書を手渡した山岸支部長(左隣)ら県建築士会上越支部メンバー

 県建築士会上越支部(山岸栄一支部長)は、能登半島地震で被災した上越市内の文化財建造物などの修復支援の要望書を同市に提出している。7日に山岸支部長らが市役所で中川幹太市長に面談し、支援について話し合い、協力体制を確認した。

 2月20日に提出した要望書は、被災した歴史的建造物の所有者への支援、支援の情報が不足しているために解体・撤去されていることから、文化財ドクター派遣の要請と周知や市独自の専門家支援チーム構築などの被害調査体制づくり、被災した建物補修の費用整備の充実などを求めている。

 中川市長は「行政だけでは被害を見つけ切れない。民間の動きはありがたい」と話した。その上で文化財ドクターは県に派遣を要請済みで、市の歴史的建造物等整備支援事業補助金は、県が2月に新設した補助金と併用が可能で柔軟に対応する方針だと回答した。

 今回の地震では市内の登録有形文化財44件のうち12件で被害が確認されている。文化財に指定、登録されていない歴史的建物も含め、土蔵や土壁を中心に被害が出ている。山岸支部長は「中越沖地震の際に頸北地域で蔵が多くなくなった。非常にもったいない」と話した。

 同支部のヘリテージマネージャー、磯田一裕さんは「被災支援に限らず、歴史文化の継承のためにやるべきことのお手伝いを建築士会ができる形がつくれれば」と話した。