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新たに部会設置へ 放水路形状、道路網など 治水、まちづくり検討 関川流域委員会 

あいさつする関川流域委員会の小池委員長。新部会は年内にも初会合を開く予定だ

 国が関川・保倉川の合流点における治水対策として整備する方針の保倉川放水路について、有識者や自治体、経済界の代表らでつくる関川流域委員会は3日、上越市の上越文化会館で会合を開き、放水路の形状や流域住民の懸念への対応策、周辺の道路網整備を含めたまちづくりを検討する新部会を設置することを決めた。年内にも初会合を開く方針。

 委員は関川流域委の小池俊雄委員長(土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)をはじめ4人と新潟大災害・復興科学研究所の安田浩保准教授(河川工学)、京都大防災研究所巨大災害研究センターの松田曜子准教授(災害まちづくり)、上越市の八木智学副市長ら5人の計9人の予定。

◇津波での海水遡上問題が顕在化

 委員会では、国土交通省が放水路整備の前提となる「関川水系河川整備計画」の変更原案について、昨年12月から今年1月まで行った住民意見聴取(パブリックコメント)の取りまとめが報告された。元日の能登半島地震による直江津周辺での津波を受け、放水路を海水が遡上(そじょう)した場合の対策について、多くの意見が寄せられた。

 住民からは、津波が遡上しないよう河口部に潮止堰(しおどめせき)を設ける提案のほか、海水が遡上してくることを明確に説明すべきだという意見が出た。

 また、国土交通省北陸地方整備局高田河川国道事務所は、放水路を建設後に「発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす津波(L2津波)」が発生した場合、放水路周辺の95ヘクタールで浸水が発生するという試算を明らかにした。小池委員長は「国はL2津波にもハード対策や防災まちづくりで対処することにしている。(被害が)起こりうるものとして考えていかねばならない」とした。