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権現荘 民間譲渡関連で賛否 糸魚川市議会6月定例会が閉会 全16議案を可決

「柵口温泉権現荘」の民間譲渡に関連する議案の採決が行われ、賛成多数で可決した

 糸魚川市議会6月定例会は4日、条例の制定や財産の譲与、歳入歳出それぞれ10億6180万6000円を追加した令和6年度一般会計補正予算など全16議案を原案通り可決して閉会した。

 市直営の日帰り入浴施設「柵口温泉権現荘」の民間譲渡に関連した議案、条例の廃止や財産の譲与について、賛成、反対の討論が行われた。

 市は今定例会の建設産業常任委員会で、譲渡先の優先交渉者、一般社団法人アッサン(北海道厚沢部町)との間で交わした建物や土地の譲与、事業運営支援金9000万円の支払いなど合意内容、同法人やグループ企業の資本金、売上決算など会社概要を示した。

 伊藤麗氏は賛成の立場で、「行政の対応は市の大切な財産を取り扱う上で慎重に進めたと評価する。この機会を逃して再び地域住民の求める宿泊が再開されることは現実的にあり得るか」、保坂悟氏は「行政改革の観点から譲渡は妥当。9000万円の支払いと譲渡先の会社の信用度の分析にのみ固執してしまうと、糸魚川市にとってのメリットを失うことになる」、田原洋子氏も「赤字を出し続けたり廃止にしたりするより、民間譲渡した方が得策」などと賛成意見を述べた。

 反対討論は田原実氏、新保峰孝氏、渡辺栄一氏、田中立一氏、古畑浩一氏が続いた。「リスク対応について十分な調査がされていない。市から支出する支援金9000万円がどのように使われるか確証を得ていない」(田原氏)、「譲渡先法人の経営実態が不透明で不安、疑問が残る。大丈夫と言える根拠は何か。市民にとって思い入れのある施設を安心して任せられない」(田中氏)、「譲渡契約の相手方としてふさわしいかどうか。営業計画も示されておらず、審査が甘い。契約を結ぶのは早い」(古畑氏)などを理由にそれぞれ反対を表した。採決の結果は賛成11、反対5で可決した。

◇譲渡支援金やビル解体費など 補正予算

 補正予算は権現荘譲渡先への支援補助金9000万円の支出や、駅北子育て支援複合施設建設予定地の既存ビル解体工事費が、当初概算額5600万円から9800万円に大幅に増額したことなどの各事業費に対して賛否が問われた。

 賛成討論に立った阿部裕和氏はいずれも「この予算、支出で妥当」と述べ、解体工事費の見込み額の甘さに苦言を呈しつつも伊藤氏、保坂氏、田原洋子氏が賛成意見を述べた。採決の結果は賛成11、反対4で可決した。