文字サイズ

人魚塚を後世に 移設し伝説をPR 大潟区雁子浜

移設整備した人魚塚を囲んで、雁子浜の熊木町内会長(中央右)ら町内の人たち(6月30日)
町内会館で行われた記念式典。小埜教授が小川未明について講演した

 人魚伝説のルーツといわれる人魚塚がある大潟区雁子浜で6月30日、人魚塚を移設整備した神事と完成記念式典が執り行われた。町内関係者らが参加した。

 人魚塚は上越市出身の童話作家、小川未明の『赤い蝋燭(ろうそく)と人魚』のモチーフになったといわれ、雁子浜字袴形にある。周囲が竹やぶで覆われたため、地権者の許可を得て伐採するなど整備し、よく見えるように南側へ約30メートル移設。説明板を取り付けた。

 人魚などを供養するもので石が3段に重ねられ、高さ約30センチ、幅奥行きとも約25センチ。熊木勉町内会長(76)は「郷土研究家によると、明治時代以前に設置されたようだ」と話す。「みんなで協力し、人魚塚を後世に伝え、守り継いでいく必要がある。子どもの頃はこの周りでよく遊んだ。佐渡も見えた」と意義を話し、昔を述懐する。

 神事の後、町内会館で記念式典が行われ、未明ボランティアネットワーク「お話の会うさぎ」による「赤い蝋燭と人魚の朗読」、上越教育大の小埜裕二教授による文学講演会が開かれた。小埜教授は「(小川未明は)1200もの童話を書いた。こんなにたくさんの童話を書いた人は他にはいない。郷土に素晴らしい人がいたんだと知ってもらえれば」と、集まった子どもたちに紹介した。

 人魚塚へのルート沿いに案内看板が設置されている。移設に関する工費は約80万円。このうち9割が市の助成事業、地域独自の予算を活用した。

町内会館で行われた記念式典。小埜教授が小川未明について講演した