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保倉川放水路ルート決まる  一部の家屋移転は不可避  関川流域委員会

 国が関川・保倉川の合流点における治水対策として整備する方針の「保倉川放水路」について、国土交通省北陸地方整備局高田河川国道事務所は8日、上越市のリージョンプラザ上越で開かれた「関川流域委員会」で、放水路のルートと幅を示した。同事務所はルート上の集落では放水路建設により、家屋の移転が不可避という見解を示した。今後、住民と国、上越市との間で放水路建設を見据えたまちづくりの検討が具体化する。
 放水路は、頸城区松本付近の保倉川から北の日本海までの全長約3キロ、面積約50ヘクタール。幅は水面幅が110~115メートル、両岸に設置する堤防と管理道路などの幅を合計すると130メートル以上になるとみられる。橋や樋門の位置や形状は現時点で明らかになっていない。建設にかかる費用は1300億円程度と試算されている。建設の着手時期は未定。
 保倉川放水路のルートについては、2020年12月の同委員会で、地域住民の生活や確実な治水効果などを考慮し、今回決まったルート周辺を「幅1キロ程度の概略ルート帯」として選定。国は絞り込みのため調査を続けてきた。
 また国交省が3月、地球温暖化の影響による降雨量増加を踏まえ「関川水系河川整備基本方針」を見直したことを受け、放水路整備の基となる「関川水系河川整備計画」を本年度内に変更する方針。各河川や放水路の目標流量(立方メートル毎秒)を、関川で従来に比べ20%、保倉川放水路で約30%それぞれ増やす。放水路の幅は目標を踏まえ示された。
 委員会では、委員から事業費や放水路建設による飛来塩分などの環境影響、放水路建設による内水氾濫の軽減効果などの質問が相次いだ。小池俊雄委員長(土木研究所・水災害リスクマネジメント国際センター長)は、同事務所に「詳細になればなるほど、普通では理解できないルールが出てくる。丁寧に説明する努力を一層尽くしてほしい」と求めた。