文字サイズ

「奇跡の稲」が「祈りの酒」に どぶろく酒が完成 素盞鳴神社で清めはらい 吉川区

祈りの酒を囲み記念撮影する関係者
奇跡の稲「イセヒカリ」を使い完成した祈りの酒

 台風被害をしのいだ水稲の株から育種されたイセヒカリを原料にオリジナルのどぶろく酒が仕上がった。このほど縁をつないだ吉川区下町の素盞鳴(すさのお)神社(五十嵐夷廣宮司)で清めはらいが行われ、関係者にお披露目された。

 イセヒカリは平成元年秋に伊勢神宮神田を襲った2度の台風でなぎ倒されたコシヒカリの中で、倒れなかった2株を起源とし、「奇跡の稲」とされている。五十嵐宮司が地域安寧と発展を願い、種子を神宮から譲り受け、地元下町の氏子農家たちが令和4年から栽培に挑戦。昨年には栃木県の佐野日大中等教育学部の生徒たちが田植え体験をしている。

 吉川区は頸城杜氏(とうじ)の里として酒のまちの歴史を受け継ぐ。天岩戸伝説が伝わる尾神岳の里で、神々にも近づく白い酒どぶろくを、製造の第一人者の中川卓夫さん(牧区)に依頼して実現した。

 完成した祈りの酒は「すさのおのいのり」と命名。750ミリリットル入りの瓶のラベルには、地元上越の墨書画家の笹川春艸さんによる霊峰尾神岳の冬景色が描かれている。

 神社内で執り行われた清めはらいは、新潟県神社庁上越支部の岩片克己支部長により行われ、奇跡の稲と祈りの酒物語の経緯と実践経過は翌日に開かれた同神社庁教化研修会で岩片支部長により報告された。

 清めはらいの神事に集まったのは、素盞鳴神社イセヒカリの会(五十嵐一也代表)の関係者ら10人。一通りの神事に続き、祈りの酒が振る舞われると、願い実現の充実感とおいしさに笑顔をそろえていた。

奇跡の稲「イセヒカリ」を使い完成した祈りの酒