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素材持ち込み共同醸造 竹田酒造店・頚城酒造・千代の光酒造 酒造3社連携で技術高め

酒母(しゅぼ)のタンクに蒸した酒米を入れる「もと立て」という仕込み作業
3蔵共同の仕込み作業。(左から)頚城酒造の吉崎杜氏、千代の光酒造の池田社長、竹田酒造店の竹田専務

 上越地域の酒造3社による、全国的にも珍しいという共同醸造作業が14日、始まった。竹田酒造店(大潟区上小船津浜)と頚城酒造(柿崎区柿崎)、千代の光酒造(妙高市窪松原)の3社で、千代の光酒造において最初の仕込み作業が行われた。今後も連携して酒を造り、技術や知見を高めていきたいとしている。

 3社では6~7年前から、共通の取引先酒販店を通して若手役員同士による技術交流や勉強が始まった。蔵元の垣根を越えてユニット「Kurap3」(クラップスリー)を立ち上げて具体的な連携作業に着手。昨年、昔ながらの製法「生もと造り」で日本酒同一ブランドを発売した。

 今回は竹田酒造店の蔵付き酵母、頚城酒造の仕込み水(ろ過した大出口泉水、65リットル)の〝素材〟を千代の光酒造に持ち込み醸造作業。この日は、蒸した上越産の酒米「山田錦」(精米歩合50%)を放冷機でかき混ぜ冷ましてから酒母(しゅぼ)に投入する「もと立て」を行った。今後は共同の洗米や麹(こうじ)作りなどを予定している。全体では酒米約900キロを使い、約2000リットルの酒(純米大吟醸)ができる見込み。

 竹田酒造店の竹田春毅専務(39)は「どんな味、香りになるのか。仕上がりが楽しみ」、頚城酒造の吉崎司杜氏(とうじ、46)は「酒造りの最中に他社の蔵に入る機会はない。うちとの違いが分かって勉強になる」、声がけした千代の光酒造の池田剣一郎社長(40)は「互いの世代が近く、それぞれの酒をリスペクトしている。3蔵の個性を生かしたい。心配な部分もあるが楽しみで新鮮。今後もやっていきたい」と、それぞれ連携の意義を口にする。

 商品名は「貴重な酵母、水を受け継ぐ」意味を込めて、「Baton」(バトン)と名付けた。早ければ5月以降、上越地域の酒販店に並ぶ予定。

3蔵共同の仕込み作業。(左から)頚城酒造の吉崎杜氏、千代の光酒造の池田社長、竹田酒造店の竹田専務