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東日本大震災から13年 能登半島地震で教訓や課題 沿岸部津波等備え模索

能登半島地震当日の様子を語る泉さん(右)と木島さん。住民アンケートなどから、高齢化に伴う津波避難の難しさ、避難所の備蓄などについても触れた(6日、上越市港町1の港町会館で)

 東日本大震災(平成23年3月11日)は広範囲に及ぶ甚大な被害をもたらし、被災地はいまだ復興の途上にある。その発災から13年。今年の元日に発生した能登半島地震は上越地域でも震度5強~4を観測。沿岸部には津波が押し寄せた。

 上越3市では地域防災について改めて課題と対策が論議されている。

 上越市は震度5強の激しい揺れに襲われた。市発表の被害状況(8日現在)は人的被害6件(重傷1件、軽傷5件)、建物被害1507件(住家1200件、非住家307件)。このほか公共施設や文教施設、道路、農林水産、ガス水道・下水道施設、港湾などに被害が及んでいる。

 このうち上越市港町は海が近く、地震直後の津波の恐怖にも見舞われた。同市防災士会直江津支部会長の泉秀夫さん(82、同市港町1)は、長年にわたって地滑りの研究に当たり、その関連から防災にも関心があったという。市が防災士制度を始める数年前に資格を習得し、東日本大震災の際には発生2カ月後にボランティアとして気仙沼、陸前高田、南相馬などで建物の片付けに協力した。

 港町防災士の木島英喜さん(45、同市港町1)は地元消防団に所属した際、住民に勧められ、市の補助制度を活用して防災士の資格を取った。東日本大震災では津波注意報の警戒で夜通し町内を見守ったという。2人は今回の地震と津波の教訓から現実的な課題を見つめ、今後の備えを模索している。