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津波避難在り方検証 海岸部地区で聞き取り 糸魚川市消防 

糸魚川市消防が津波避難の状況について海岸部の地域から聞き取りを実施。町内会長から話を聞く竹田消防長(左)(13日、能生生涯学習センター)

 1月1日の能登半島地震で発令された津波警報により、糸魚川市内では約6000人が避難した。自主避難所は74カ所(同市発表)。糸魚川市消防本部は避難の在り方を検証するため、市内海岸部の地域に聞き取り調査を進めている。

◇高齢者らの避難対応 避難所への情報伝達 共通の課題に

 調査は43地区を対象に順次実施。各町内会長らに同日の避難場所、人数、避難手段や要した時間、防災行政無線や安心メールによる市の情報伝達関係、要援護者の対応などを聞いて課題や問題点を整理している。

 共通して浮かぶ課題は高齢者ら災害弱者の避難対応、自主避難所への情報伝達など。

 能生西小町の町内会長、中村喜代志さん(78)は「市の安心メールを気にしていたけど、ほかの避難所などの状況が分からない。避難してきた皆さんに情報が提供できなかった」と避難先で抱いた不安を振り返る。

 正月の帰省者らも含めて町内の高台に位置する寺へ住民約90人が避難した。ほとんどが徒歩で、揺れから10分ほどで集まり始めたという。一方で避難をためらう高齢者もあった。「避難の呼びかけはスムーズにいった。訓練の成果と思う」としつつ、「車椅子やリヤカーの避難は坂道が大変。歩けても介助が必要。雪があるときはどうなるか」と心配が募る。

 竹田健一消防長は避難状況や要望などを聞き、「(消防も)出す情報が少なかった」と反省し、今後、消防団員による情報提供と発信を検討していきたいとした。

 同市は今年6月23日に予定している市防災訓練を能登半島地震と同規模の想定で行う計画。「実効性ある訓練をしたい」としている。