文字サイズ

建物被害広がる 液状化現象など 能登半島地震 糸魚川市

地震発生後、自宅前で泥水が噴き出した。亀裂や段差が徐々に広がり、不安を募らせる住民(3日午前9時30分ごろ、糸魚川市中央1)
津波警報が発令され、美山周辺へ大勢が避難。屋内施設や駐車場はいっぱいになり、道路も混雑した(1日午後7時ごろ、糸魚川市美山陸上競技場から市民撮影)

 能登半島地震により、糸魚川市内では建物被害が広がっている。

 1・1糸魚川市地震災害対策本部のまとめによると、3日午前7時現在で被害は住家194件、空き家を含む非住家7件。屋根瓦の落下や内外壁の破損、基礎や柱の傾きなど。その他14件はブロック塀の倒壊や傾きなど。能生地域、糸魚川地域の京ケ峰、中央、青海地域の田海、寺地での被害報告が多い。市は被害認定調査の準備を進めている。住家被害を受けた京ケ峰の2世帯3人に避難を要請。他に高齢者ら5世帯9人が余震の不安から自主避難をしている。

 中央区では液状化現象の被害が相次ぎ、家の傾きや地割れ、側溝の損壊、泥水の噴出などが見られる。中央1の男性(83)宅は家の基礎が沈み込み、自宅前の道路と段差ができた。台所の床や和室の畳が盛り上がり、「平衡感覚がおかしくなる。住める状態ではないんだろうが、空き家にもできない。雨が降ったら大変だ」と案じた。

◇新幹線運行再開 帰省客Uターン

 北陸新幹線が運行を再開し、3日は年末年始を故郷で過ごした帰省客らのUターンのピークとなった。糸魚川駅は荷物を持った人や見送りの家族が目立ち、続く余震を心配して「気を付けてね」と言葉を交わしていた。東京から帰省していた娘と孫を送りにきた寺町の男性は「孫(小学1年男児)と露天風呂に入っていて地震に遭った。母親と別で避難をしていて不安だったと思う。とんだお年玉になったけど無事に帰れて良かった」と胸をなで下ろした。

◇避難いち早く 市民の危機意識

 1日の津波警報発令後、当初の避難者数は市全域で74カ所、計5967人。多くの市民が自主的に高台を目指して逃げた。対策本部長の米田徹市長は3日、マスコミの取材に「避難者が先に避難できる場所へ集まり、市民の津波に対する危機意識の高さを感じた。生命に関わる被災を受けておらず良かった」と答え、「手をかけなくてはならない被災箇所が多くある。身の安全をお願いし、引き続き対応していきたい」と緊張感を強めた。

◇3図書館など臨時休館措置

 市内3図書館は4日、玉翠園・谷村美術館は4、5日を臨時休館とする。

津波警報が発令され、美山周辺へ大勢が避難。屋内施設や駐車場はいっぱいになり、道路も混雑した(1日午後7時ごろ、糸魚川市美山陸上競技場から市民撮影)