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素描から見る古径作品 日本画制作貴重な資料 上越市の記念美術館

古径の素描を解説する小川さん(写真は古墳内装、装飾品の模写)。題材や描写力、当時の日本画についてなど幅広い内容に、参加者から質問が寄せられた

 上越市本城町の小林古径記念美術館は来年3月10日まで、企画展「生誕140年記念 古径さんの素描」展を開いている。イベントの一環として9日、学芸員によるギャラリートークが行われ、素描から古径のさまざまな面を見つめた。

 日本画は途中修正がききにくく、制作前に練習や模写など多くの素描を描く。同館では小林古径の素描約1300点を所蔵しており、今回は154点(日本画や他の作家作品は別)を展示している。

 解説を担当した学芸員の小川陽子さんは、日本画完成までの工程や、自分の画風を確立するまでの過程が見られる貴重な資料としての側面に注目。また、飼い犬や庭のザクロなど日常から描いた作品や、埴輪(はにわ)や正倉院の宝物などの緻密な模写など豊かな描写力にも触れた。

 小川さんは「練習、勉強のためたくさん描かれた素描だけれど、見る機会はなかなかない。ぜひ足を運んでほしい」と来場を勧めた。ギャラリートークは来年1月14日、3月9日午後1時30分から1時間、実施する。また今月16日午後1時30分から同3時まで、日本画の模写技法「上げ写し」体験会が行われる。参加費300円(入館料別)。申し込みは同館(電025・523・8680)へ。