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要因共有、対策確認 1等米比率低下 適正管理や品種改良 県米対策会議

本年産米の著しい1等米比率低下を受けて県が会議を実施。研究会による要因、対策の取りまとめを共有し、次年度以降の技術対策について確認した

 県は5日、新潟市の県自治会館で米対策会議を開き、本年産米の1等米比率低下の要因と対策を共有するとともに、次年度以降の技術対策について確認した。10月30日、11月28日に開かれた有識者らによる研究会が報告を取りまとめ、座長で新潟大農学部の山崎将紀教授が報告した。

 1等米比率低下の要因としては、記録的な高温・多照と少雨による渇水と分析。8月は日平均気温が全国最高記録タイの30・6度、降水量は全国最少、日照時間は全国最長、新潟沖の海水温が過去最高だった。地域によって渇水も発生し、気象が生産者の対策を上回る状況だったとした。

 10月31日時点の県産米1等米比率では、コシヒカリ、こしいぶきは過去最低、新之助は平年並み。特にコシヒカリは、最も暑さに敏感となる時季にフェーン現象が3回発生し、白未熟粒など著しい外観品質低下につながった。

 対応方向としてコシヒカリを中心とした食味が良く高品質な新潟米の安定供給を目指し、将来的には高温耐性品種を中心とした品種構成による生産とし、当面は異常高温などの気候変動リスクに備えて作期の分散や後期栄養の確保など、技術対策を強化する。

 短期的な対策として高温被害などのリスク管理を考慮した作付け、施肥と水の管理による稲の生育後期における栄養確保・維持のほか、適期収穫と乾燥・調製、土づくり。技術以外ではセーフティーネットの活用強化、作業(労力)補完体制の構築を打ち出した。

 県農産園芸課の渡部浩課長は「2019年の高温による品質低下を受け、農家の方々も対策を取ってくれたが、今夏はそれでも厳しかった。高温の常態化頻度は分からないが、県としても極早生(わせ)品種などの実験に取り組んでいきたい」と語った。