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上越市で日本人形製造 渡辺工芸を子会社化 新町に新ファクトリー 大和飲料

上越ファクトリーの様子。現在は11人が日本人形の組み立てを行い、全国各地へ出荷している
12日に大和飲料の田中社長(左)らが市役所を表敬。中川市長に日本人形を進呈し、新たな雇用創出や新商品などの話題で歓談した

 上越市土橋の大和飲料はこのほど、日本人形組み立てメーカーの渡辺工芸(本社・東京都西多摩郡)を100%子会社化し、同市新町に上越ファクトリーを開設した。すでに全国各地に商品を出荷していて、新たな雇用創出や地域ならではの新商品提案など、注目を集めている。

 渡辺工芸は職人の高齢化と後継者不在、人件費高騰、人手不足により、経営が困難となっていた。大和飲料は93年の歴史があり、地域に根ざした企業としてこうした状況を手助けできないかと、創業、新事業創出支援機関から打診があり、子会社化を決定。8月に上越ファクトリーを開設し、翌月から製造を開始した。

 現在は、職人から研修を受けた20~50代までの女性11人が製造を担当。応募から半月で枠が埋まるほどで、上越地域では伝統工芸製造の募集が少なく、手芸の技術を生かせる仕事がしたかったとの声が聞かれたという。

 12日は、関係者が上越市役所を表敬し、中川幹太市長に羽子板、ひな人形、甲冑を進呈。新たな雇用の創出や、上杉謙信などの戦国武将とコラボした人形のアイデアなどの話題で盛り上がった。中川市長は「上越ではさまざまな職業で人材不足が課題となっている。まだまだ雇用を生む余地があるはず」と今後に期待を寄せた。

 大和飲料の田中一裕取締役社長(渡辺工芸取締役兼務)は「上越の土地建物を利用し、若手職員の育成や日本人形の文化も定着させ、この地から全国に上越の人形を発信していけたら」と願った。

12日に大和飲料の田中社長(左)らが市役所を表敬。中川市長に日本人形を進呈し、新たな雇用創出や新商品などの話題で歓談した