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絵手紙日記 描き続け30年 上越市中通町・畠山弘さん(86) 自分史、社会史にも 感じる心と記録大事に

これまでに描いた絵手紙日記は約1万800枚。ファイルで保存しており、46冊にもなる
この日はニチニチソウの花を写生。真剣なまなざしを向け、描いていく

 上越市中通町の畠山弘さん(86)が日々描き続けている絵手紙日記が今年で30年となった。27日までに描いた絵手紙日記は1万815枚。毎日の楽しみであると同時に、描きためたものが大きな財産となっている。

 絵手紙日記は季節の花や、その日にあった出来事、もらった土産物などをはがき大の紙に描き、一言を添える。画材はペンや水彩色鉛筆などを使用。27日はニチニチソウを描いた。

 描き始めたのは平成5年4月6日。当時の畠山さんは建設省(当時)の職員で、長岡市に単身赴任となった際、新しい趣味を始めることを目的に、近況報告を兼ねて絵手紙を描いた。2年後に上越市に戻り、退職した後も習慣となり、絵日記として現在も続いている。

 描いた絵日記はファイルで保存し、現在は46冊にもなった。絵手紙として知人らに送る際は、保存用にもう1枚描く。過去のファイルをひもとくと、自分や家族に起きた出来事だけでなく、大雪や現在は閉店した店、全国を騒がせたニュースなども題材になっており、畠山さんの自分史と同時に社会史にもなっている。今夏は最高気温を日々書き込み、猛暑だったことが分かるようにした。

 絵日記を続ける秘訣(ひけつ)は、感じる心を持つことと、記録を丁寧にすることだという。散歩や趣味のドライブで、季節の移ろいを感じるとともに、昨年以前との違いを敏感に感じ取る。絵日記とは別に日々の記録をつけており、天候や気温、何をしたか、歩いた歩数などを書いている。忙しくて絵日記が描けなかった日は、記録が参考になる。また、添える文章を書く際に言葉遣いや漢字に間違いがないように、辞書が手放せない。

 今後も描き続ける意欲は尽きない。「元気なうちは続けたい。描き続けるために、元気でい続けたい」と話した。

この日はニチニチソウの花を写生。真剣なまなざしを向け、描いていく