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演劇クエスト はねうまのマレビト 『冒険の書』手にまち歩き 妙高と上越 トキ鉄沿線が舞台に

新井駅で開かれた「演劇クエスト妙高・上越版 はねうまのマレビト」のオープニング・トーク。説明する「orangcosong」の藤原さん(右から2人目)と住吉山さん(同3人目)夫妻
駅からまち旅へと導く『冒険の書』の表紙。沿線の有人駅、妙高市文化ホールに設置されている

 「演劇クエスト妙高・上越版 はねうまのマレビト」(公益財団法人妙高文化振興事業団主催)が16日から、えちごトキめき鉄道・妙高はねうまライン沿線全10駅と周辺地域を舞台に始まった。冊子『冒険の書』に書かれた指示に従い、参加者・プレーヤーが物語の〝主役〟になって歩いてまちを旅し、新たな体験、発見に出合う。

 「演劇クエスト」はゲームとアートの要素を兼ね備えた遊歩型ツアープロジェクト。同事業団が妙高市文化ホール開館40周年記念事業として実施。コロナ禍を挟み5年越しで準備してきた。

 総合演出・執筆・編集は、横浜市を拠点に活動するアート・ユニット「orangcosong(オランコソン)」の藤原ちからさん(46)・住吉山実里さん(37)夫妻。これまで横浜市、タイ・バンコク、ドイツ・デュッセルドルフなど国内外13地域で演劇クエストを制作してきた。

 「妙高・上越版」は25作目となる。藤原さん、住吉山さんは複数回、長期滞在して取材やワークショップを実施してきた。イラスト担当は進士遙さん、運用面でえちごトキめき鉄道が協力する。

 「マレビト」になるために必要な『冒険の書』は3000部作製。市文化ホールと沿線の有人駅、直江津駅、春日山駅、高田駅、上越妙高駅、新井駅、二本木駅、関山駅、妙高高原駅に設置してある。冒険ストーリーは全10駅ごとに用意された。所要時間は30~120分。原則1人でプレー、妙高高原駅のみ2人参加となる。

◇冊子発行記念し新井駅でイベント

 新井駅で初日、冊子の発行記念イベント「オープニング・トーク」が開かれ、約10人が参集した。藤原さん、住吉山さんが概要を説明。構内でのデモンストレーションも行われた。事前のテストプレーから参加した妙高市在住の男性(54)は「楽しかった。自分を見つめ直す時間にもなった」などと感想、魅力を話した。

 演劇クエストの始動に当たり藤原さん、住吉山さんはこれまでの協力に感謝し、多くの「冒険者」の誕生に期待。「楽しめる作品に仕上がった。冒険なので、なるべく1人でプレーしてほしい」などと話し、「多様性を感じる機会になれば」「皆さんの『脳内地図』が変わってくれれば」と願いを込めた。

◇冒険者の集い 感想や期待

 18日午後6時からは、妙高市上町の新井総合コミュニティセンターで「冒険者の集い」が開かれ、「マレビト」14人が参加した。車座になり体験した人、これから体験する人が感想や期待を発表。「迷ったが、迷ったことからも新しい発見があった」「東京にいた頃はよく歩いたが、こちらではほとんど車。これまでにない新たな体験だった」などとざっくばらんに報告し合い、共感の輪が生まれていた。

駅からまち旅へと導く『冒険の書』の表紙。沿線の有人駅、妙高市文化ホールに設置されている
「冒険者の集い」で車座になって感想や期待を発表し合う参加者