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さまざまな事例紹介 里山活用、地域振興考える 上越市でセミナー

林業に関連する団体などから70人が参加。小関さん(右)ら講師の取り組み紹介などを通じ、里山資源の活用と地域振興について考えた

 上越市の林業関連団体による「里山資源の活用と地域振興セミナー」が8月28日、同市土橋の市民プラザで開かれた。約70人が出席し、講師2人の事例紹介などを基に林業の今後や地域づくり、里山について考えた。

 上越教育大の吉田昌幸教授は林業にデジタル地域通貨を取り入れた事例を紹介。高知県のNPOは山から木を伐採して業者に売るときに地域通貨をもらい、地域の商店で使う形式を提案。全国にも広まり、放置されていた里山や地元商店の利用が増えた一方、木の売値が買値より安くなったり、商店が地域通貨をすぐに現金化してしまうなど、課題もあるという。

 「大切なのはかつてのように里山や林業に多くの人が関心を持ち、関わること」とし、「必要な人材を育て、地元企業も参画するなど地域振興にもつながる」と説いた。

 美山里山舎(京都府南丹市)代表の小関泰嗣さんは、里山の小規模資源フル活用事例を紹介。かつて製材業でにぎわっていた同地で木の伐採から製材、加工、建築までを手がけ、まきストーブ、まきボイラーを開発。国内外で活動している。

 小関さんは「1次産業で唯一、起死回生の力を秘めているのが中山間地の山林。木材は国、市場頼りにせず、少数高品質で生産し、ボイラー、ストーブは安全で燃料もクリーン。石油頼みの生活からの脱却にもつながる」と説明した。

 セミナーを主催した、くびき野森林組合の横田力組合長は「上越地域の林業は課題だらけの中で孤軍奮闘。近年は豊かな海の源や森林整備による獣害抑制、バイオエネルギーなど注目が集まっている。今後もこうした機会を設け、里山資源の活用と地域活性化について考えたい」と語った。