文字サイズ

棚田米消費拡大へ 所得増加・営農継続 SDGs展開 JAえちご上越

30日に開かれた報道機関向け説明会。管内の棚田を取り巻く現状や、生産と消費拡大、農家の収入増や棚田環境の保護に向けたさまざまな取り組みが紹介された

 JAえちご上越は、管内の棚田米生産の保全、維持と営農継続に向け、「棚田米SDGsプロジェクト」を展開している。30日、上越市藤巻の同JA本店で報道機関向け説明会を開き、これまでの活動経過と今後の予定が報告された。

 同JAでは、上越、妙高両市の13地区で生産されるコシヒカリを「棚田米」として販売。良好な食味だけでなく、棚田の豊かな自然や風景、土砂災害対策などの多面的な機能の保全、農業者の生きがいにもなっているという。

 一方で、平地より生産が手間で収量も少なく、担い手不足や高齢化もあり、管内では、令和3年に出荷者数1174人、作付面積1407ヘクタールから、同4年は1004人、1342ヘクタールまで減少した。

 こうした状況を踏まえ、同JAは昨年6月に「棚田米SDGsプロジェクト」を立ち上げ、棚田米の消費拡大、生産者の所得向上を目指す取り組みを始めた。これまでに、上越市のふるさと納税返礼品としての取り扱い開始、東京での米取引業者らへの説明会や、都内小学校で給食に棚田米を提供するとともに板倉区の棚田を中継する特別授業を実施した。

 今後、9月には特別授業で収穫風景の中継や、来年1月には関係者を交えたシンポジウムなどを計画中。妙高市や郵便局カタログとの連携も提案し、棚田米の生産維持、拡大を目指すとしている。

 経営管理委員会の羽深真一会長は「コロナ禍での米消費減少も大きな課題。棚田米を継続的に守る『棚田米SDGs』を、より多くの人に知ってもらい、食べてほしい」と活動周知への協力を訴えた。