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コロナ禍越え伝統再開へ 9月1日「根知山寺の延年」奉納 舞児ら舞台練習励む 4年ぶり練習量倍増

4年ぶりの舞楽奉納に向けて7月下旬から練習を重ねてきた舞児(27日、糸魚川市山寺・日吉神社)
大人に習って伝統の舞を受け継ぐ中学生(同)

 糸魚川市根知地区・山寺の日吉神社秋季大祭が9月1日に行われる。今年は4年ぶりに「おててこ舞」の総称で知られる国の重要無形民俗文化財「根知山寺の延年」が奉納される。

 コロナ禍で3年間中止となったため、再開に向けて例年よりも舞の練習量を倍増。本番を間近に控えた27日、舞台掛けを済ませて準備が整った神社で1日練習が行われた。稚児舞が中心で、「鏡の舞」は初舞台を踏む園児2人が大人たちの見守る中、太鼓や笛の音に合わせて覚えた所作を繰り返した。「弓の舞」を舞う中学生男子2人も、「もう少し手を高く上げて」などと手ほどきを受けて細かな所作を確認して仕上げた。

 伝統の舞は、コロナ禍前から少子化による舞児の確保や継承が課題となっており、近年は近隣集落の協力を得て受け継いでいる。3年間の中止を経て舞児世代が成長したこともあり、今年は山寺出身の市内縁者らに新たに協力を広げて、各演目の年頃に合った園児、小中学生がそろった。

 一方、大人の舞や楽人も高齢化や市、県外への流出に伴って減っている現状がある。今年は10演目のうち、太夫と才蔵が掛け合う「万才の舞」を取りやめる。青木孝至区長(52)は、自身が演じた経験からも長いせりふや歌、独特の所作を習得するには時間を要するという。「(舞を)引き継ぐ時が一番大変。できるうちはやらなくては」と話し、「今年は4年ぶりに祭りの舞ができる。地域に活気が戻れば」と願った。

 9月1日は午前10時から祭典、午後1時から稚児行列(金蔵院―観音堂―同神社)、舞楽奉納。前日31日は午後1時から神輿(みこし)巡行。宵宮が同8時30分から。9演目を奉納後、盆踊りを行う。

大人に習って伝統の舞を受け継ぐ中学生(同)