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平和を伝え守る 広島派遣研修参加中学生 学びの成果報告 糸魚川市

原爆ドームや慰霊碑など平和記念公園内を見学(5日、糸魚川市提供)
平和へ祈りを込めて「とうろう」流しに参加(6日、同)

 糸魚川市内の中学2年生10人が8月5~7日に広島県を訪れ、平和記念式典に参列し、被爆体験者の講話や資料館見学などを通じて平和の尊さを学んだ。

 同市は平成19年6月に平和都市宣言を行っており、推進事業として同24年度から中学生を対象にした広島派遣研修を実施している。今年で10回目を数える。

 参加生徒は各中学校で作った千羽鶴を平和記念公園内に献納し、平和記念式典で約1万人の参列者とともに黙とうをささげた。平和を祈って作製した灯籠にメッセージを書いて「とうろう流し」にも参加した。妊娠中に被爆した母親から生まれた胎内被爆者の話を聞き、広島原爆の惨状を伝える平和記念資料館や呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)などを見学した。

 研修を終えた参加生徒の報告会が17日、市役所で開かれた。「原爆ドームは当時の悲しみや恐ろしさが残っていた。初めて戦争を現実のものとして感じられた」「平和記念式典は外国の方もたくさんいた。国を越え、もう二度と同じことを起こしてはいけないという共通の認識があることをうれしく思う」など現地で見聞きした経験から感じ、考えたことを一人ずつ発表した。

 ロシアのウクライナ軍事侵攻や核使用の危機感が高まっている現実の問題にも、「ロシアの豊富な資源を戦争ではなく平和のために使ってほしい」「人が作った核兵器で人の命が奪われる未来が絶対にあってはならない」と思いを伝えた。

 井川賢一副市長は「平和を願うだけでなく伝える、守っていくために自分たちに何ができるかを日頃から考えて行動して。広島での貴重な体験を多くの仲間に伝えて共有してほしい」と呼びかけた。

平和へ祈りを込めて「とうろう」流しに参加(6日、同)
参加生徒が報告会で広島での経験と学びを発表した(17日、糸魚川市役所)