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「引ける水もうない」 水稲の干ばつ被害深刻 上越市の天水田

水がないためひび割れた水田。この時期は水稲にとって最も水が必要な時期だ(11日、大島区)
例年なら下流の水田に水を供給する貯水池だが、水はほとんど残っていない(11日、吉川区)

 上越市の中山間地にある天水田(かんがいを雪解け水や雨水に依存している水田)では、水稲の干ばつ被害が深刻化している。主力品種のコシヒカリは最も水を必要とする時期のため、このまま推移すれば農業者の所得に大打撃を与える恐れがある。

 気象庁によると、上越市安塚では7月21日から8月11日の累計降水量は1・5ミリ。水稲はこの時期、穂が出た後、もみを充実させるために大量の水を必要とする。水がない場合は大幅な品質低下や枯死を引き起こす。天水田の農業者は川や堰堤(えんてい)の水をポンプでくみ上げ水田に供給していたが、雨が降らず川の水も少なくなり、打つ手がない状況だ。

 大島区の旭地区では、水稲が枯れる寸前の状態。川や堰堤にはほぼ水がない。農業者は「コシヒカリは今、最も水を必要とする時期。この時期に水がないのは致命的だ」と話していた。

 吉川区町田では、貯水池の水量がゼロに近づき、かんがい用水が供給されない状況だ。貯水池の水源は山の雪解け水や雨水だが、雨が降らないため水位は大幅に下がり、用水路は水が通っていないと一目で分かるほど乾いていた。用水の下流にある水田では深さ15センチほどのひびが入り、水稲が枯れ始めている。

 共産党上越市議団と馬場秀幸県議が11日、農地渇水の実態を把握するため、吉川区などを訪れ、農業者から話を聞くなどした。橋爪法一市議は「水田に入って現在の状況を確認した。水田に引く水がないということが、最も深刻だ」と話した。

例年なら下流の水田に水を供給する貯水池だが、水はほとんど残っていない(11日、吉川区)