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〝産科・分娩の灯〟「絶やさせない」 糸魚川市・糸病主催 地域医療フォーラム 行政や医療、各関係団体 出産不安一丸で解決へ

第2部の座談会では、地元の関係機関の識者たちが事前または当日受けた「今後のお産・子育てに関する疑問」について答えた

 糸魚川市、糸魚川総合病院主催の地域医療フォーラムが7月30日、同市寺町4のビーチホールまがたまで行われた。糸魚川総合病院の分娩(ぶんべん)取り扱い休止に伴う産科の問題が取り沙汰されている中で、「糸魚川で安心して子どもを産み育てる」をテーマに各種講演、座談会の2部構成で実施。約130人が聴講した。

 第1部は同院の日高隆雄産婦人科部長が「糸魚川地域の現状と糸魚川総合病院の取り組み」、同院助産師の藤井こころさんが「BirCE(バース)プロジェクト~当院の新たな産婦人科のかたち~」、市こども課の担当者が市の妊産婦支援制度について講演。第2部は糸魚川産後ケアセンター「La madre(ラ マドレ)」代表の横澤亜希子さん、市消防本部警防課の担当者を加えて座談会を行う内容。

 米田徹市長は開会で「糸魚川総合病院と共に、市内での分娩が再開できるよう新潟県と協力、連携して産婦人科医の確保に努めている。実際に勤務条件に関する問い合わせなどもあると伺っている。医師確保へ取り組みを進め、分娩が再開できるまでは地域の関係機関と連携しながら、妊産婦支援に全力で取り組む」と力を込めた。

 座談会は事前または当日受けた「今後のお産・子育てに関する疑問」について答えていく流れで、同院の山岸文範病院長が進行役を担当。各種支援策への質問のほか、「現在妊娠中。今までは糸病で良かったが、分娩ができないということで上越地域の病院に通っている。ここからだと45分前後、車でかかる。緊急時心配」「今の状況だと将来、糸病の産科はなくなってしまうのでは」など不安の声も寄せられた。

 山岸病院長は「世の中の進みは(地域医療提供体制の)集約化に向かっているが、集約化で良いこともある。小さな病院がいくつもあるより、大きな病院があってそこと連携していくシステムが重要。糸魚川のみならず、日本全体を助けていくものだと思う」と強調。

 「私たちは人口減でこういう状況になっているわけだが、より良い医療を提供できるようなものを必ずつくれると僕は考えているし、その方向で物事を進めていきたい。重要なのは皆さんの参加。それぞれ情報、意見を発信していただきたい」と呼びかけるとともに、「糸魚川の産科、分娩の灯を消さないように頑張っていきたい」と決意を新たにした。