文字サイズ

〈リデザイン~人口減と向き合う~〉糸魚川市消防本部 救急体制を強化 高齢化、医療再編 地域課題に対応

救急隊員の新たな編成により、さまざまな救急現場を想定して活動訓練を重ねる(市消防本部)

 救急需要が高まる一方で人口減、高齢社会、地域医療再編など救急業務を取り巻く環境は厳しさを増す。市民の命を守るためにどう救急体制を整えるか。

◇救急出動、市外搬送が増加傾向

 糸魚川市消防本部の救急出動件数は、ここ数年は年間約2000件で推移していたが、令和4、5年は2400件まで増えた。増大の要因は高齢化が進んでいるためとみられる。

 近隣の上越市や富山県の市外に搬送する事案も増えている。同5年は2442件のうち378件が市外の医療機関に搬送(転院搬送含む)。3年前の同2年は214件で約1・8倍の増。今後も増加が予測される。

 市外の搬送に要する時間(往復)は上越市で約2時間20分、富山県で約3時間30分。1件当たりの活動時間が長くなることで、次の事案があった場合に出動できない空白の時間が生じてしまう。

 そういった事態を防ぐため、市消防本部は救急体制を見直し、救急隊員の編成、救急車両の配置を整えた。昨年からの試行、準備期間を経て今年2月から運用し、本年度本格的にスタートしている。

◇有資格者で増隊 1台増車を配置

 救急隊はこれまでの4隊から5隊体制を組んだ。全職員90人のうち救急車に乗務できる救急隊員有資格者は85人。増員なしで人員体制を強化するため、救助隊員や事務職員らの救急救命士や救急隊員有資格者で第2救急隊を編成して増隊した。

 同5年度に更新した青海救急の旧車両を継続使用し、糸魚川市消防署に第2出動車両として配置。市消防署4台、能生、青海分署と早川分遣所が各1台の計7台。全体で1台を増車した。救急救命士の資格保持者は34人で、複数(2人以上)乗車できる体制を取っている。

 新たな編成に伴い救急活動訓練を重ねてきた。救急の現場から離れていた職員も含め、さまざまな事案を想定し訓練を積む。糸魚川総合病院の医師から指導を受け、定期的なミーティングを行い、医師、看護師と連携を密に情報共有を図る。

 武藤悟消防本部次長・消防署長(59)は「将来に備えて今できることを“先取り”で取り組む」と体制を強化。医療従事者の働き方改革、上越医療圏の医療再編などで今後の救急医療、受け入れ状況がどう変わっていくかを注視し、「市民の安心安全な暮らしのため全職員で救急体制の安定に努める」と話した。

◇応急手当て技術 講習受け習得を

 救急体制を維持するには市民の理解と協力も必要とされる。応急手当ての知識や技術を身に付けておけば災害時、事故や急病の場合も役立つ。市消防本部は市民向けの救命講習を開き、積極的な参加を呼びかけている。

健康・福祉の関連ニュース

特集・連載の関連ニュース