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〈首都圏ニュース〉故・中村三郎さん遺作 計5巻を上越市に寄贈 旧大島村保倉地区 昭和までの暮らし記録  

早川教育長から感謝状を受けた小宮さん
首都圏版で連載したイラスト集

 上越市の旧大島村保倉地区上達に生まれ、小学校教員を退職後に、ふるさとの方言や暮らし、民俗・文化の記録と伝承に取り組み、平成7年に87歳で亡くなった中村三郎さんの遺作が計5巻の冊子に編集され、上越市に寄贈された。

 寄贈したのは千葉県白井市在住の五女で元国税局勤務の小宮絹江さん(78)。10月30日に所属する東京浦川原会のふるさと交流会にあわせて同会役員らと共に上越市役所を訪れ、冊子を早川義裕教育長に託し、感謝状を受け取った。

 冊子に編集された5巻は10年前に発行されたイラスト集『山は残った』『川よ涸(か)れるな』の合本と方言解説集の『保倉の言葉』の2巻が原点。イラスト集は上越タイムス首都圏版に全20回で紹介され、「懐郷の念が募る」と大きな反響。これに新しく見つかった資料を編集し追加発行した写真集の〝親子版〟『望郷の誌』『自然と人間生活』と、追加のイラストや伝承民話と民謡をまとめた『遙(はる)かな道 郷土の民話と民謡』が昨年までにそろった。

 原点の2巻は本県在住で長男の中村正紀さんが全面協力。追加発見された資料と写真集も正紀さん宅で見つかり、提供された。提供を受けた小宮さんは経年劣化と虫食い損傷の激しさに戸惑ったが、「貴重な記録の救出」作業に取り組んだ。

 5巻の冊子集は、原点の諸資料と共に寄贈され、来春開校予定の東頸中学校と公文書センター、高田図書館にそれぞれ置かれる。

 大正末期から昭和の戦後までの時代を記録する5巻のうち写真集とイラスト・民謡集の概要は次の通り。

◇原本の記録〝救出〟 写真集『望郷の詩』『自然と人間生活』 四季と暮らしの300枚 

 昨年発行の『望郷の詩』と『自然と人間生活』は親子写真集。A4判の『望郷の詩』は110ページに歴史を証言する貴重な約300枚の写真を編集、掲載している。『自然と人間生活』は視点を変え再整理している。

 撮影と作成から約60年経過し傷みが激しかったが、編集者の技術を駆使した〝救出作業〟で整理している。

 写真は春夏秋冬と冠婚葬祭などの日常生活、民具、農具を紹介し、巻末には現在のほくほく線の鍋館山隧道(ずいどう)の難工事の様子も写し込んでいる。それぞれの写真には詳しい説明文も添えられ、貴重な解説になっている。

◇日常の様子描写 イラスト・民話・民謡集『遙かな道 郷土の民話と民謡』 貴重な6話と3曲で 

 『遙かな道 郷土の民話と民謡』は総集編。初期の本で紹介されなかった、暮らしと仕事など多彩な場面を捉えたイラストを解説付きの53ページで紹介している。

 全体を通して当地の日常と1年間の様子をうかがい知れる。途中にNHKやドイツ大学院生の研究取材を受けたことも紹介し、記録活動が多方面から注目されていたことが分かる。

 民話・伝説の紹介は(1)野々海の池の死闘(2)犀ケ淵の由来(3)小海の池の主の大あばれ(4)立ヶ崎の長兵衛(5)屁っこき嫁(6)小豆峠の古狸の6話。民謡は(1)盆踊り音頭唄(2)保倉甚句(3)わらべ唄の3曲を紹介している。

首都圏版で連載したイラスト集
村総出の結婚式の様子
掲載されているイラストの1枚