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柏崎市から船舶避難 海保、海自の巡視船など直江津港へ 18年ぶり国と県合同原子力防災訓練

巡視船「さど」で直江津港に到着した訓練参加住民。バスに乗り換え、避難所のある妙高市へ向かった

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所の重大事故を想定した国と県による原子力防災訓練が27日から、県内各地で行われている。18年ぶりの合同訓練には119機関2561人、住民1433人が参加。地震により運転中の原発が緊急停止、原子炉注水機能を喪失する事象が発生したと想定し、11月9日まで実施している。

 28日は上越市の直江津港へ船舶による柏崎市からの住民避難が行われた。これまでにも同港への船舶避難は行われていたが、海上保安庁と海上自衛隊の複数組織による実動訓練は初めて。

 午前中に新潟海上保安部所属の巡視船「さど」、午後に海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」が計100人ほどの住民を移送。到着後はバスに乗り換え、妙高市の避難所へと向かった。また「おおすみ」は国が備蓄する安定ヨウ素剤の緊急輸送も行った。

 「さど」で避難した柏崎市山本の柴崎美恵子さん(58)は「悪天候だったけれど、船は思ったよりも揺れなかった。実際はもっと多くの人が乗って混雑すると思う」。「おおすみ」から降りた同市剱の小林安博さん(46)は「実際の避難ではもっとパニックになっているかも。訓練をしっかり積んで備えたい」と話した。

 県防災局原子力安全対策課の金内大主査(43)は「地震で陸路が使えない可能性もあるので、船舶避難という選択肢が増えるのは大切。今回の訓練を踏まえ、手続きや有効性、避難した人の体調など検証を進めていきたい」と話した。