複雑な背景への理解を ヤングケアラー問題考える 人権啓発講演会 糸魚川市など

糸魚川市、新潟地方法務局糸魚川支局、糸魚川人権擁護委員協議会主催の令和5年度人権啓発講演会が25日、同市寺町4のビーチホールまがたまで開かれた=写真。ジャーナリストの石川結貴さんが「ヤングケアラー ~『家族を背負う』子どもたちの現状と課題~」と題して講じた。
ヤングケアラーとは、本来なら大人が担うような家族の世話や介護などを日常的に行う18歳未満の子どもを指す。社会問題として昨今取り沙汰されるようになった大きな理由に、一昔前との社会の変化があるという。
石川さんは「かつては地域が共同体のように、病気や障害のある人を支えていたが、今はできなくなった。何かそうした問題が起こったとき、その家族だけで抱えなきゃいけないし、小さな子どもだとどうにもできない。だから社会的な問題として考えていこう、というのが最近の動き」と指摘。
複数の事例を交えてヤングケアラーの実態について話を進め、介護に加えて例えば虐待被害や貧困、加害など、さまざまな問題が絡み合う複雑な背景があることを想定するべきだとした。
最後に「お願いしたいのは、無理にヤングケアラーの問題を掘り起こそうとしないこと。一方的に『大変だね』『つらいよね』『かわいそう』などと決めつけ、相手の心の扉がぱたっと閉じることが間々ある。事情にかかわらず目の前にいる子どもに自分の心を伝えていくことから始めるのが、何より大切なのでは」と訴えた。