伝統工芸に親しむ 達人に習い竹細工作り 吉川区


精巧な作品を丹念に―。吉川区で木工竹細工教室が開かれ、約10人で活動している。旧吉川町時代のいきがい教室でスタートし、現在は級長の中村高二さん(79、同区山中)らが活動を引き継ぎ、一般の人に伝えている。
町では昔から農具として使用するため伝統的に竹細工が盛ん。材料の竹には事欠かず、農具のほか、家庭の民具や日用品にも使われている。
若い人たちや外国人の受講者に技術を伝えている中村さんは「1本の竹から製品ができる感動がある。出来上がると面白い」と話す。
一人前にできるまである程度の年月を要するといい、根気のいる作業。まずは材料となるひご作りがしっかりできないと作品に取りかかれない。
教室の師匠は岩井満さん(88、同区河沢)。木工竹細工の第一人者で、中学の頃から竹を扱い、農業と出稼ぎの酒造りの合間を縫って木工や竹細工に励んだ。ケヤキの茶だんすやきりだんすも自作するほか、道具にもこだわり、ナタや小刀を自ら作ってしまう。
「ものづくりへの情熱は半端ではない」と師匠から教わる参加者。岩井さんは「本には書いていない」と頭の中で練り、独自に編み出す。「結局、竹や木をかまっているのが好きなんだ」と目を光らせ、材料と向き合う。
教室は毎月第1、3木曜日午前9時から正午まで、吉川区原之町の吉川コミュニティプラザで行っている。見学や体験は自由。
