名月めで茶会 庭園で風流に 上越市寺町2の善導寺

「中秋の名月」の9月29日、上越市寺町2の善導寺(吉田昌基住職)にある「癒石庭園」で月見茶会が開かれた。同寺の檀家(だんか)や地域住民など約20人が参加。虫の声や滝の水音を聞きながら、頭上に浮かぶ月を眺めて一服を味わった。同庭の造園作業を手がけた上越市戸野目の英香園会長、伊藤春男さん(75)が主催した。
茶会は、庭の中ほどに設けられた野だての茶所で開かれた。午後6時過ぎ、日が落ちた空にぽっかりと月が浮かぶと参加者から歓声が上がった。
伊藤さんはさまざまな場で茶会を催している。月見茶会は、親交のあった表千家の師匠、五十嵐敏子さん(享年88歳)の三回忌に当たることから計画。お点前は五十嵐さんの弟子が務めた。五十嵐さんが亡くなった日も9月の満月の日だったことから、参加者は静かに月を見て故人をしのんだ。
伊藤さんは「皆さんと月をめでながら、幸せな時間を共有できてうれしい。忘れられない一日になった」と感慨を込めて話していた。
境内の竹林を改修した回遊式庭園の同庭は2021年に完成。一年を通して市民に開放され、滝や植栽、鞍馬石などを観賞できる。吉田住職(29)は「お寺が皆さんの交流の場として貢献できるのならうれしい」と話していた。