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県内堅果類豊凶調査 上越はブナ以外最低 クマ出没懸念

 県鳥獣被害対策支援センターは26日、本年度の県内堅果類豊凶調査の結果(確定値)を発表した。それによると、今秋のブナの実は全県で結実が認められない「凶作」で、その他の堅果類は不作~並作。そのため冬眠前のツキノワグマが餌を求めて人里へ出没する可能性が高いとして注意を呼びかけている。

 調査は8月1日から31日まで、佐渡島と粟島を除く県内239地点で実施。全県ではブナが凶作、ミズナラとコナラが不作、クリ、オニグルミが並作となっている。上越ではブナとミズナラが凶作、コナラとオニグルミが不作、クリが並作。

 新潟大農学部の箕口秀夫教授は調査に寄せたコメントで、「今年のクマの餌条件は、県下全域でブナが凶作、ミズナラ、コナラ、クリも過去13年間で最低の豊凶指数を示しており、非常に劣悪」と分析。上越については「ブナ以外の全ての豊凶指数が県下で最低、もしくはほぼ最低となっており、クマにとって試練の年になった」と指摘した。

 山奥のブナ、ミズナラが凶作で、里山や人里に近い堅果類ほど並作と、人間活動の盛んな場所で餌条件が良い傾向にあり、クマの出没、餌場としての利用が懸念されるという。里山での行楽だけでなく、人里、市街地など過去にクマの報告がない場所でも十分注意するよう呼びかけた。