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元島民に思い寄せ 北海道で北方領土現地視察研修 糸魚川市内中学生17人参加 領土問題への認識新たに

北方領土現地視察研修に参加した糸魚川市内の中学3年生17人(北方領土返還要求運動新潟県民会議提供)
実際に元島民から話を聞いて北方領土の問題に認識を深めた(同)

 糸魚川市内の中学3年生17人が今年の夏休みに、北海道で行われた北方四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)の領土問題を学ぶ視察研修に参加した。

 研修は独立行政法人北方領土問題対策協会などの主催事業。ロシアによる不法占拠が続く北方領土問題を身近に捉え、返還要求運動を次世代に継承する目的で実施している。全国各地域の子どもたちを現地に派遣しており、新潟県では平成28年、令和2年に続いての派遣。今回は同市の中学生を対象に4校から各校代表生徒と教諭らスタッフが参加した。

 現地研修は8月18~21日まで、北方領土の隣接地域で行われた。期間中、船で国後島まで8キロラインの水域へ。天候に恵まれ、はっきりと島の姿が見られた。「これより先に進むとロシアの国境警備隊に拿捕(だほ)される可能性がある」との説明を受け、生徒たちは船上から緊張の面持ちで見つめたという。

 色丹島元島民の得能宏さん(89)の講話では、終戦後のソ連軍侵攻の様子や島を追われて本土に向かうまでの悲惨な実体験など、強制的に故郷から引き離された島民の思いに耳を傾けた。北海道立北方四島交流センター(根室市)を見学し、北方領土の歴史や現状、ロシアの文化を学び、北方館(同)で館長から話を聞いて漁業の現状にも理解を深めた。

 参加生徒は実際に現地で見聞した経験を通じて問題への認識を新たにし、伝えていくことの必要性を感じた。糸魚川中の田辺誠一郎君は「すぐ目の前まで島が見えている。だけどここから先には危ない、行けない。悔しいし悲しい」と島民の気持ちをおもんぱかった。元島民の多くが高齢化。「北方領土返還を求める灯を次世代へ継いでいってほしい」という訴えに、安田優希君は「次の運動の担い手が必要だ。研修に行ったことを拡散していかなければならない」と真剣な表情で話した。

実際に元島民から話を聞いて北方領土の問題に認識を深めた(同)