文字サイズ

シベリア抑留死亡者 名前読み上げ悼む 故・村山常雄さん(糸魚川市能生)作成の名簿で 功績に感謝の声

糸魚川地区公民館に設けた会場では、集まった市民8人がオンラインで参加。粛々と読み上げ、追悼の意を示した(24日)

 シベリア抑留死亡者約4万6000人の名前を読み上げる「シベリア抑留78年追悼イベント」が23日から26日まで4日間かけて、オンラインなどを通じて行われている。抑留を経験した糸魚川市能生の元中学校教諭、故・村山常雄さんが作成した名簿を用い、全国各地の参加者が追悼の意を示している。

 村山さんは第2次世界大戦の終戦時に捕虜となり、約4年間、シベリアで抑留生活を送った。その体験から抑留死亡者の名簿を作成し、インターネットで公開。平成18年に第40回吉川英治文化賞、同21年には第12回自費出版文化賞大賞を受賞するなどし、同26年に88歳で死去した。

 名簿を用いた追悼イベントは、シベリア抑留者支援・記録センター(東京都)が主体で実施して今年で4回目。糸魚川市内では今回、同市横町1の糸魚川地区公民館に会場を設け、希望者が一堂に会してオンラインで参加できるようにした。

 同公民館会場では24日午後に行われ、市民8人が参加。名簿から500人分を分担し、約30分かけて粛々と読み上げた。

 終了後、参加者からは「父がシベリアに抑留され、村山先生のおかげでどこで亡くなったのかが分かった」「あらためて、村山先生のお仕事の偉大さを痛感した」「こうして名簿を読ませていただく機会を頂き、大変ありがたい」「(シベリア抑留で)若くして亡くなっている方もいる。絶対に戦争を起こしてはならない」などさまざまな感想、思いが聞かれた。

 参加者の一人、菅原賢明さん(80)は村山さんと教員仲間で数十年来の付き合いだった。「(村山さんは)私ら若い連中を優しく導いてくれた大先輩」と懐かしみながら、名簿の読み上げに「やはり、名前があってこその人間。一人一人の名前を大切にしなければ」と思いをはせた。