築140年の古民家再生 上越市中ノ俣「清兵衛」 野良着茶会でこけら落とし


上越市中ノ俣で古民家「清兵衛(せいべえ)」の再生が進んでいる。築約140年の家を石川正一さん(73、同所)が改修、地域のお茶飲みやイベント会場として活用し、地域活性化につなげる。
清兵衛は石川さんの母の実家だった渡辺家の住宅で屋号。明治13年に建てられた記録が残っている。平成27年ごろから空き家になり、取り壊しの話が出ていたが、人が集まる場所を作りたいという思いから、再生することにした。
改修作業は令和元年から始まり、石川さんが本職の大工経験を生かして改修に取り組んでいる。大きないろりがある広間を中心とし、隣り合う部屋とのふすまを外して開放感のある空間に。テーブルや椅子を用意し、高齢者が使いやすくしている。
建物内には中ノ俣や桑取谷から集まった古民具や美術品を展示。旧中ノ俣小中学校の看板など、地域の歴史を物語る品物も置かれている。
8日には〝こけら落とし〟として、樂之(らくし)の会主催の「野良着茶会」が開かれた。例年は集落近くの棚田で開いているイベントだが、天候の関係で清兵衛を会場に実施。来場者がいろりを囲んでくつろぎ、菓子や抹茶を味わった。訪れた女性客は「生活様式が感じられて、とてもすてき」と語った。
今後はイベントを開きながら、改修作業の仕上げをしていく。石川さんは「人が集まり、交流する場になってほしい。(集まった人から)将来のヒントが聞けたらと期待している」と話している。
