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新潟労災病院閉院問題 機能再編、短期解決を 理想と現場 実態交錯 上越地域医療構想調整会議

関係者は新潟労災病院の医療機能を早期に再編することを了承した
医療機能の再編イメージ(会議資料を基に作成)

 県と上越地域の医療関係者、自治体関係者による「上越地域医療構想調整会議」が21日、上越市内で開かれ、医師不足による医療機能の低下が著しい新潟労災病院(上越市東雲町1)の機能再編(地域の病院がどう引き受けるか)について、意見が交わされた。

 新潟労災は救急搬送、入院、手術も引き受けていた病院だけに、受け皿となる市内の病院も設備やスタッフの充実も必要となる。関係者は機能再編を短期間で解決するのと同時に、人口減少社会における持続可能で質の高い医療体制の構築まで進める方針だ。

 「地域全体として病院機能がどう発揮されるか。人口減少や医療スタッフ確保に直面する地域で、個々の病院の機能が低下したとき、調整・連携機能を使って機能を維持・強化していくかが重要だ」と、オンラインで会議に出席した松本晴樹・県福祉保健部長は述べた。個々の病院ではなく「圏域」としての医療体制を維持することが、大切だとの発想だ。

 県立中央病院(同市新南町)の長谷川正樹院長は、「上越地域では、救急たらい回しが起きていない」として、地域の病院がそれぞれ役割を果たして医療体制を維持してきたことを強調。新潟労災が担っている急性期医療や手術もある整形外科の受け入れ体制整備が喫緊の課題だとした。

 新潟労災は整形外科、脳神経外科、歯科口腔外科の入院、救急車も昨年度500台程度受け入れている。上越総合病院(同市大道福田)の篭島充院長は「短期的対応は急いで行わないといけないが、具体的にどこがどの程度やるのか、施設整備は、その金額は。合意をして進めていくことが大切だ」と指摘した。

 県は受け皿となる病院を県立中央、上越総合、県立柿崎(柿崎区柿崎)、知命堂(上越市西城町3)、上越地域医療センター(同市南高田町)の5病院とし、本年度中に計画をまとめ、各病院の性格に応じて機能を割り振り、再編する方針。必要な施設の整備も予想されることから、再編には今から2年程度かかるとみられる。新潟労災は再編が終われば、閉院する方針だ。

◇スタッフの移行 大きな課題に

 医療スタッフの引き受けも大きな課題だ。新潟労災には医師を除くと約120人の看護師はじめ医療従事者が、事務職を含めると約170人が勤務する。新潟労災を運営する独立行政法人労働者健康安全機構は「引き続き上越地域の医療機関で働き続けられるよう、検討する」として、地域の病院での引き受けを求めた。

 県立中央の長谷川院長は「スタッフは上越地域で非常に大事な人たち。絶対に外せない。もう一度活躍できるような条件、再雇用の受け皿を作る必要がある」と述べて受け入れに前向きな姿勢を示し、糸魚川総合病院(糸魚川市竹ケ花)の山岸文範院長は「この地域にとって、医療機能と人の集約化は、急いで検討すべき課題だ」と問題提起した。

 ただ、スタッフの円滑な移行は簡単ではない。待遇の違いや通勤距離の問題、離職などなどの選択肢もある。「そう簡単に移ってもらえるものではない。かなりの調整と多くの交渉を要する」(高橋慶一・上越医師会会長)。

 新潟労災の傳田博司院長代理は、著しい機能低下の原因を「医師の減少」とし、「地域全体でこの問題を取り上げる必要がある」と述べた。

医療機能の再編イメージ(会議資料を基に作成)